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秋風吹き入る洞庭の波
此の明徽善手(達人による古琴の曲「洞庭秋思」の名調子)をいかんせん
聴き到りて泱泱(広々とした)、声絶ゆる処
満園の竹露、湘娥(月の仙女)を泣かしむ
『星巌先生遺稿』巻一「西帰集」6丁 「秋夕芝原氏齋中聽琴」
『梁川星巌全集』第二巻 19p:伊東信編著、昭和32年刊より
伊藤信による箱書
秋風吹入洞庭湖奈此明徽善手何聽到泱泱聲絶處滿園竹露泣皇娥
右梁川星巌先生芝原氏齋中聽琴七絶一首収此星巌遺稿巻一西帰集葢弘化三年丙午
秋夕先生五十八歳所作筆致瀟灑饒香風韻足以想見其風格其爲真蹟固無豈可不
珍重哉鑑賞之餘題一言云爾 昭和甲午六月 竹東山人仰鑒幷題簽
秋風吹き入る洞庭湖 此の明徽善手をいかんせん 聴き到りて泱泱、声絶ゆる処 満園の竹露、湘娥を泣かしむ
右の梁川星巌先生「芝原氏齋中、琴を聴く」七絶一首。此を星巌遺稿巻一西帰集に収む。葢し弘化三年丙午の秋夕、先生五十八歳作る所。
筆致は瀟灑、饒香、風韻以て想見するに足る。其の風格其れ真蹟と為す。固より豈に珍重すべからざるなからんや。
鑑賞の余、一言題してしか云ふ 昭和甲午(二十九年)六月 竹東山人、仰鑒幷びに題簽
梁川星巌記念館(大垣市曽根町1-772)