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頼三樹三郎 掛軸  (2012年3月購入)

頼三樹三郎

黄金積如玉
明眸媚似花
両皆無一思
濯脚釣臺波
百城 生

黄金、積んで玉の如く (小判を玉のごとく積み)
明眸、媚びて花の似くも (芸者の眼差しが媚びて花のやうであらうと)
両つながら皆、一思無く (ふたつながら、心を動かすやうな思ひは皆無で)
脚を濯ふ、釣台の波 (私は脚を波に洗はせて海辺に立ちつくす)

『鴨漉叶謳カ一日百詩』 より「鉄石心腸」(三丁表)の詩。北海道江差にての歌である。
刊本では「地に堆く」の横に小さく「土の如く」を併記する。
作者が書き間違ふ筈はなく、版本に清書する際「玉」を「土」と誤ったか、或は贋作であり馬鹿な偽作者が誤って「玉」と書き写したかもしれない。
しか箱書もあって「詩格筆力佚清、肚奇麗、自ら天成の妙趣有り。三樹先生の作、鑑賞す可き也。頼潔拝識。」と書いてある。するとこちらも贋物かな。

一夜の即席詩とて、「濯脚釣台波」の典故は不明。

参考文献:【江戸後期詩人たちの周辺】 『酔古堂剣掃』


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