『勢陽風雅』

（せいようふうが）

宝暦八年(1758) 雪巖道人編

26.8×18.0cm　序3,自叙4,上24,下14,附録12,跋1 丁

版元：　風乕堂　山形屋傳右衛門(津)/玉枝軒　伏見屋藤右衛門・藤次郎(京)

丹丘先生鑒定
雪巖道人編選

勢陽風雅

平安 玉枝軒 ・ 洞津 風乕堂　梓行

勢陽風雅　序

余数年前、編選平安風雅、編成、而懼獲罪於作者焉。又懼京師文學淵藪、人蔵隋珠、余𡪍交少友、無悉英俊、故秘帳中不出焉、
客歳閲市、獲絃歌餘音者、乃勢陽士庶歳首之詩、其格律雄渾、詞藻冨麗、雖以京師名家、難越其藩矣、乃識明時文運之盛、遍及方隅矣、
今茲之春、雪巖上人来自勢陽、訪余僑居、且携勢陽風雅一編、索冠鄙言、余久聞上人詩名、且喜其遠訪、留談如故、因受讀其風雅者、
其詩三百餘篇、其人百数十名、有士族、有醫人、有緇流、有閨秀、悉皆上人所交識、勢陽騒友也、
其辤㶷爛、錦綉奪目、其氣奮揚、龍蛇起陸、實一邦文獻、由是徴矣、傳諸通邑大都、眎大邦風雅、何不可之有、
抑吾聞上人在江都、奉天梯教、精進経論、又猶游南郭蘭亭二先生、㝡善詩賦、
後漂泊来京師、改奉親鸞教、繼游勢陽、以詩鳴於四方、雖然其志在弘通佛法、教誘羣生云、
以吾言之、出楊入墨、其曽幾希、昔在惠休・無本詩僧也、当輒出進遷喬、復正還俗、
今上人学明内外、識通天人、乃羈足異教、吾甚惜焉、至若風雅之選、則鑒裁陪徙於吾所選焉、因褒為之序、
寶暦戊寅春正月

　平安　芥　煥　彦章　撰
　　　　男　清　子泉　書


勢陽風雅　序

余、数年前、『平安風雅』編選す。編成りて作者より罪を獲んことを懼る。又た京師の文學の淵藪を懼る。
人は隋珠を蔵す。余、交り寡く、友少なく、英俊を悉(知りつく)すこと無く、故に帳中に秘して出でず。
客歳、市を閲するに、絃歌餘音(※『絃歌餘韻』詞華集)なる者を獲る。乃ち勢陽の士庶の歳首の詩なり。
其の格律は雄渾、詞藻は富麗、京師の名家を以てすと雖も、其の藩(まがき)を越ゆるは難からん。
乃ち明時文運の盛、遍く方隅に及べるを識る。
今茲の春、雪巖上人、勢陽より来り、余の僑居を訪ふ。且つ『勢陽風雅』一編を携へ、冠に鄙言を索む。
余、久しく上人の詩名を聞けり。且つ其の遠訪を喜び、留談、故の如く、因って受けて其の風雅なる者を讀む。
其の詩、三百餘篇。其の人、百数十名。士族有り、医人有り、緇流(※僧侶)有り、閨秀(※女流)有り。
悉皆、上人の交識する所の勢陽の騒友(※詩人)也。
其の辞は㶷爛、錦綉にして目を奪ひ、其の氣は奮揚、龍蛇を陸に起す。實に一邦の文獻、是に由りて徴するかな。
諸(これ)を通邑大都に傳へ、大邦の風雅を眎(み)る、何ぞ不可の之れ有らん。
抑も吾れ上人の江都に在りて、天梯教(※天台宗)を奉ずるを聞く。
経論を精進して、又た猶ほ南郭(※服部南郭)蘭亭(※高野蘭亭)二先生に游び、最も詩賦を善くす。
後、漂泊して京師に来たり。改めて親鸞教(※浄土真宗)を奉じ、繼いで勢陽(※伊勢国)に游び、詩を以て四方に鳴る。
然りと雖も其の志は佛法の弘通(ぐづう※布教)に在り、羣生を教誘すと云ふ。
吾れ之を言ふに以て「出楊入墨(※楊子から墨子に移る)」とす。其れ曽て幾んど希なり。
昔、惠休・無本(※賈島)の詩僧の在るや、当に輒ち出進遷喬(※出世)して、復た正に還俗す。
今、上人の学は内外に明らかにして、識は天人に通ず。乃ち異教に羈足せらるは、吾が甚しく惜む。
風雅の選の若きに至っては、則ち鑒裁(※鑑定)は陪(ますます)吾が選ぶ所より徙る。因りて褒めて之の序を為す。
寶暦戊寅(宝歴8年1758)春正月

　平安　芥　煥　彦章 (※芥川丹丘1710-1785)　撰
　　　　男　清　子泉 (※芥川元澄1744-1807)　書

蓋余自幼出家、奉天梯教、八九年前、為事漂泊来、自東都、暫寓西亰客舎焉。
舎主人、乃浄土眞教之徒、余熟視其所為、晨昏奉香火事佛祖。
雖他高僧開士、不可以加私心、竊伏於是遍窺其教徒、緇與素、都與鄙、悉皆若斯焉。
余感嘆謂夫佛祖制禁食肉與飲酒犯男犯女罪、無殊矣。
若夫犯男飲酒公然為之、不知慚愧指眞教之徒、為火宅僧、動輙ち罵之賤之恰如五十歩笑百歩歟。
抑大乗経中、往々有説曰、不為名利住正見清浄説法教誘群萌、則雖食肉帶妻名為正見僧得為僧寶旨哉。
其言、而大乗戒不�ｺ、而如有�ｺ禰之、大妄語結以波羅夷罪、且罪[辶呙]以隠覆為重眞教之徒、
雖犯制禁毫無隠覆而能知慚愧、日夜對佛祖發露懺悔如優婆塞、早住正見清浄説法為教導則自覺々他於斯足矣。余遂改衣為眞教之徒云。
既而辞亰東游南總旋西游河攝継遊勢々大國也。
乃　宗廟之所鎮也。天文接北斗地理盡南海屓山抱江沃野千里天府之國也。
振古以冨名海内且世多騒[客]、葢　心霊之所毓且所謂深山大澤生龍虵者也。
余挂錫于洞津、傍與薦紳騒[客]玄侶、詩筒往来者三年于今。
今茲之春乃遍乞諸家歳初歳晩之詩、等其相類者裒而編之、名以勢陽風雅、編次従得詩早暮不拘貴賤老少、題下各注字[號]郷貫、悉従其人所穪。
編成詩殆三百篇、作者凡百九十餘人。奚其盛哉。已而誦之字句竝唐格調不卑實渢々乎。大國之音哉。
余為此役也、欲傳諸通邑大都、眎多士炳蔚國之光焉。且欲初学之士慕列君子林而愈益黽勉進于斯道焉。
要且太平樂事也。勢地固以　宗廟望配亰師、既[庶]矣。且富今復以文名海内則豈不美哉。
抑勢大國也。世多騒客斯集挂漏将謀嗣選名以二編三編、且余雲遊四方騒雅之交甚多。
與余唱和者充仭𡚁笈不忍舎之名、以附録、悉収無遺其詞采冨麗者。虽非唱和亦収之因顯升平文化之盛也。
雖然詩賦綺語耳矣。皓然霊一之徒、以詩掩其�ｺ業、非余所志也。余将不為名利住正見清浄説法教誘群萌、
假我十年獲終精義学則、使海内之人拭目詩之云爾。
寶暦戊寅(宝歴8年1758)正月

　玩世　竺　教搏　題
　関南　中條[思]孝　書


勢陽風雅　自叙

蓋し余は幼きより出家して天梯教を奉ず。八九年前、事の為に漂泊来って東都より暫く西京の客舎に寓す。
舎の主人は乃ち浄土眞教の徒なり。余の其の為す所を熟視するに、晨昏、香火を奉じて佛祖に事(つか)ふ。
他の高僧開士と雖も、以て私心を加ふべからず、竊(ひそ)かに是に伏し、遍く其の教徒を窺ふ。緇(僧侶)と素(庶民)と、都と鄙と、悉皆斯く若し。
余、感嘆して謂ふ。夫れ佛祖の制禁は食肉と飲酒・犯男・犯女の罪にて殊無し(※格別)。
若し夫れ、犯男・飲酒を公然と之を為さば、慚愧を知らざること、眞教の徒を指して火宅の僧と為し、動(やや)もすれば輙ち之を罵り之を賤しむは、恰かも五十歩の百歩を笑ふが如しか。
抑も大乗経の中、往々説有りて曰く、
「名利を為さず正見に住み説法を清浄にして群萌を教誘すれば、則ち食肉帶妻すると雖も、名づけて正見僧と為し、得て僧寶と為す旨なる哉」と。
其の言、而して大乗の不徳を戒め、而して徳有る如く之を称へ、大妄語(嘘つき)は波羅夷罪(※僧侶の重罪)を以て結べり。
且つ罪過の隠覆を以て眞教を重んずるの徒と為すは、制禁を犯すと雖も毫しも隠覆する無く、而して能く慚愧を知る、日夜佛祖に對して懺悔を發露すること優婆塞(※在家信者)の如し。
早や正見に住み説法を清浄にして教導を為さば、則ち自ら覺り他を覺らしめて斯に於いて足る。余、遂に衣を改め眞教の徒と為ると云ふ。
既にして(※やがて)京を辞し南總に東游し旋りて河攝(※河内摂津)に西游し、継いで勢(※伊勢)に遊ぶ。勢は大國也。
乃ち宗廟の鎮まる所也。天文は北斗に接ぎ地理は南海に盡き、山を負ひ江を抱いて沃野千里、天府の國也。
振古(※太古)より富めるを以て海内に名あり、且つ世(世々)騒客(※詩人)多し。
葢し心霊の毓(育)む所にして且つ所謂「深山大澤には龍虵(偉人)を生ず」者也。(※春秋左氏伝)
余、洞津に錫を挂け、傍ら薦紳、騒客、玄侶と與に詩筒を往来するは、今に三年。
今茲の春、乃ち遍く諸家に歳初歳晩の詩を乞ひ、等しく其の相ひ類する者を裒(あつ)めて之を編み、名づけて以て『勢陽風雅』とす。
詩を得るに従って編次し、早暮、貴賤老少に拘らず、下に各(おのおの)字(あざな)、號、郷貫を注に題し、其人の称する所に従って悉(つく)す。
編成りて詩は殆んど三百篇、作者は凡そ百九十餘人。奚(なん)ぞ其の盛んなる哉。
已にして之を誦せば、字句は唐の格調と竝びて卑からず實に渢々乎たり。大國の音哉。
余、此の役を為す也、諸(これ)を通邑大都に傳へ、多士炳蔚として國の光たるを眎(み)んと欲す。
且つ初学の士の列君子林を慕ひ、而して愈よ益(ますま)す黽勉、斯道に進ましめんと欲す。
要するに且つ太平の樂事也。勢地は固より以　宗廟望配京師、既に庶(ちかから)んか。且富今復以文名海内、則ち豈に美ならざらん哉。
抑も勢は大國也。世(よよ)騒客多し。斯の集の挂漏(※遺漏)は、将に嗣選を謀りて名づくに二編三編を以てせん。
且つ余は四方に雲遊し騒雅の交り甚だ多し。余と與に唱和せし者、弊笈に充仭(※充滿)すれば、之を舎(すて)るに忍びず、名づけて以て『附録』とし、
悉く収めて遺すこと無し。其の詞の冨麗なる者を采る。唱和に非ると雖も亦た之を収め、因って升平(※昇平)文化の盛を顯はす也。
然りと雖も詩賦は綺語のみ。皓然霊一之徒、詩を以て其の徳業を掩ふは、余の志す所に非る也。
余、将に名利を為さず、正見に住み、説法を清浄にし、群萌を教誘せんとす。
假に我十年、終に義学を精しくするを獲れば、則ち使海内の人をして目を拭はしめ、之を詩とせんとのみ。
　寶暦戊寅(宝歴8年1758)正月

　玩世　竺　教搏(※雪巖) 　題
　關南　中條思孝　書

勢陽風雅 初編 上

東武　雪巖道人　輯
河陽　玉壺 源義敏 好古　校
洞都　臨海 釋了本 慧成　校

01早春歩小園偶書一首奉寄東山賢兄　藤堂高周　【洞津(津)】

01戊寅元旦試毫　小龍谿　字玄朔　【洞津】
01丁丑除夜　　小龍 谿　字玄朔　【洞津】
01歳晩西樵君見過賦贈　奥田士侃　號鳩居　【洞津】

02除夕　阿叔女　【洞津】
02早春登洞津大悲閣分韻　中條思孝　字惟則　號關南　【洞 津】　自叙の書写者
02同賦春色滿皇州分韻　中條思孝　字惟則　號關南　【洞津】

02除夜　僧義順　字承天　14歳　【洞津】
02早春登洞津大悲閣分韵　僧義順　字承天　14歳　【洞 津】
02春色滿皇州分韵　筒井誼清　字元慎　號謙庵　【洞津】　下巻校正者

03元日之作　岡度堅　字子順　號眉山　【洞津】
03除夜　岡度堅　字子順　號眉山　【洞津】

03除日訪獅子吼庵　岡度堅　字子順　號眉山　【洞津】
03歳晩呈東山君　澤邉宗周　字三英　號東皐　【洞津】
03擬春日早朝之作　僧空寛　字園超　號東海　【洞津】

04元日口號　小栗氏女　名文華　【洞津】
04春色滿皇州分韵　藤井信武　字子長　號淡水　【洞津】
歳暮訪雪巖上人禪房　藤井信武　字子長　號淡水　【洞 津】

04春色滿皇州分韵　庭田俊安　字寧卿　號玉垂　【洞津】
04新年偶作　庭田俊安　字寧卿　號玉垂　【洞津】

05元旦　金陽堂主人　【洞津】
05除夕有感　谷川士春　字順迪15歳　【洞津】
05春色滿皇州分韻　谷川士春　字順迪15歳　【洞津】

05早春偶興　鈴木始卿　號冠巖　【洞津】
05歳旦　宮崎惟度　字子則　號東岳　【洞津】

06早春登洞津大悲閣分韻　宮崎惟度　字子則　號東岳　【洞津】
06元旦　河邊尚寛　字子仁　【洞津】
06歳晩偶作　中條允　字中郎　【洞津】

06春色滿皇州分韻　中條允　字中郎　【洞津】
06除夕即事　僧真龍　13歳　【洞津】
　紺園(佛寺)、霜満ちて寒烟起きる。歳暮の風光、転た寂然。茗を煮て爐を囲んで倶に夜を守る。親に侍して瞻病(看病)、春天を待つ。

06元旦　僧真龍　13歳　【洞津】

07除夜　宮本當好　號九疑　【洞津】
07春日登洞津大悲閣分韻　宮本當好　號九疑　【洞津】
07臘中聴鶯　庭子女　【洞津】

07元旦試筆　庭子女　【洞津】
　堂上、春を稱へて壽觴を薦む。階庭の芳樹、新陽に媚ぶ。詩を題するも才思、元より及ぶ無し。案を擧げて聊か将に孟光に効(なら)はんとす。※「挙案斉眉」故事

07早春即事　別府勝則　字正卿　【洞津】
07春初登愛宕山分韵　名倉紀昌　字子榮　號東浦　【洞津】
07除夜　三松寛邦　字公濟　號蘇門　【洞津】

08春初登愛宕山分韵　三松寛邦　字公濟　號蘇門　【洞津】
08除夕　秦秀充　字子彦　號�寳､　【洞津】
08除夕　僧維巖　字節山　號鑒谷　【洞津】
08春初登洞津大悲閣分韻　僧維巖　字節山　號鑒谷　【洞津】

08岩田橋春望分韻　宮崎惟任　字子重　【洞津】
08擬春日早朝之作　鈴木始卿　【洞津】

09元旦　鴉素羲正　字子孝　號莱蒲　【洞津】
09元旦　村田正敏　字子慎　號南溟　【洞津】
09岩田橋春望分韵　牛田常仍　字子禮　【洞津】

09元旦　庭田安饒　13歳　【洞津】
09元旦　朝山一寧　字貞伯　號芳洲　【洞津】
09擬春日早朝之作　朝山一寧　字貞伯　號芳洲　【洞津】
09元旦　僧深誓　12歳　【洞津】

10除夜感懐　釋文寛　字快賢　號南陵　【洞津】
10元旦　釋文寛　字快賢　號南陵　【洞津】
10元旦　朝山元�ｯ　維嶽　號漕浦　【洞津】

10除夜　藪文友　字俊立　號若水　【洞津】
10佐巵樓春望　中條恭　字愿卿　號木唇　【洞津】
10除夕　僧玄住　字本立　號梧臺　【洞津】
10元旦　僧玄住　字本立　號梧臺　【洞津】

11早春登洞津大悲閣分韵　僧玄住　字本立　號梧臺　【洞津】
11歳晩偶書　富岡定囿　字公茂　【洞津】

11早春登洞津大悲閣分韵　富岡定囿　字公茂　【洞津】
11春日東雲寺集分韻　澤邉宗周　【洞津】
11元旦　岡安充　【洞津】

12除夜偶作　倉田安致　字濟美　號雪溪　【洞津】
12春初登洞津大悲閣分韻　倉田安致　字濟美　號雪溪　【洞津】
12除タ　小林好紀　字寛綱　號鹿門　【洞津】

12春初登洞津大悲閣　小林好紀　字寛綱　號鹿門　【洞津】
12歳暮冠�ｰ先生宅即事　馬島安榮　字玄碩　14歳　【洞津】
12除夕東皐先生過訪惠詩次韵奉酬　菊池宗雨　【洞津】
12岩田橋春望分韻　僧眞浄　【洞津】

13除タ　岡貞規　字文仲　號石門　【洞津】
13春初登愛宕山分韻　岡貞規　字文仲　號石門　【洞津】
13岩田橋春望　僧淳道　字一運　【洞津】

13歳晩不見東海上人數日有寄　芝原廣則　號臥遊散人　【洞津】
13其二　芝原廣則　號臥遊散人　【洞津】

14歳晩書懐　芝原廣則　號臥遊散人　【洞津】
14僧潜霊　字潭龍　號圓洲　【洞津】
14元旦　字潭龍　號圓洲　【洞津】
14除タ　村田正喜　號説齋　【洞津】

14元旦　村田正喜　號説齋　【洞津】
14春初偶成　安岡矩近　字順昌　【洞津】
14元旦　多氣良兼　【洞津】

15長安春望　竺空寛　【洞津】

16除夜　宮崎吉傍　字貞甫　號東郊　【洞津】
16岩田橋春望分韵　宮崎吉傍　字貞甫　號東郊　【洞津】
16除タ　小川達堅　字子暢　【洞津】
16元旦口號　小川達堅　字子暢　【洞津】

16早春野望　小川達堅　字子暢　【洞津】
16新年作　釋聞超　【洞津】
16元旦　村田正興　字子淵　號泯江　【洞津】

17除夜　釋慧覺　字守愚　號蘭皐　【洞津】
17元旦　杉田種褎　字公發　【洞津】
17春初登愛宕山分韻　村上貞住　字安卿　【洞津】

17新歳之作　僧泰順　號觀河　【洞津】
17春初謁龍谷祖廟　僧本誓　【洞津】

18春色滿皇州分韻　釋了本　字慧成　號臨海　【洞津】　上巻校正者
18和遷喬醫生同諸子登朝熊山之作　釋了本　字慧成　號臨海　【洞津】

18歳杪訪玩世道人禪室　釋了本　字慧成　號臨海　【洞津】
18岩田橋春望分韻　谷川士孝　【洞津】
18逍遥亭春興　渡透世龍　字子雲　號虚舟　【洞津】

19賦得春夜塞上聞笛　森其章　字琢卿　號瀬州　【洞津】
19元旦　谷公龍　字子田　號大澤　【高田山(津)】
19除夜　谷公龍　字子田　號大澤　【高田山(津)】

19歳暮有感　清水長之　字子順　號東條　【日永(四日市)】
19元旦　清水長之　字子順　號東條　【日永(四日市)】

20除夜　坂倉吉利　字祐之　號竹亭　【日永(四日市)】
20元旦　坂倉吉利　字祐之　號竹亭　【日永(四日市)】
20除夜　森慶　字子孝　號岡山　【羽津(四日市)】

20元旦　森慶　字子孝　號岡山　【羽津(四日市)】
20元旦　南山子　【未記載】
20擬春日早朝之作　三谷正如　字子兼【山田(伊勢)】

21除タ　鳥羽直道　字順常【與原(松阪)】
21除夜　僧祖海　【白子(鈴鹿)】
21元旦　僧祖海　【白子(鈴鹿)】
21歳晩　益川鵬　字元通　號圖南　【白子(鈴鹿)】

21除夜席上呈青龍尊者　小川玄得　號虚室　【白子(鈴鹿)】
21除夜有感　不識道人　【白子(鈴鹿)】

22元旦　不識道人　【白子(鈴鹿)】
22擬春日早朝　好臥山人　【白子(鈴鹿)】
22元旦　高惟嶽　【白子(鈴鹿)】

22元旦　釋諍識　字普博　【町屋(津)】
22元旦　釋海空　【高田山下(津)】
22元旦　中村忠居　【久米(員弁郡)】

23早春登經塚山大悲閣　倉田正厚　字伯茂　號古道　【大塚(松阪)】
23元旦　釋辨榮　字圓筭　號節堂　【阪下(亀山)】

23春日遊東雲寺　僧浄濤　字大海　號鼓岳　【洞津】
23歳晩暫歸省洞津和鳩居奥先生見示韻卻寄　宮定燕　字季翼　號西樵　【未記載】
23登朝熊山　駒田正範　字子憲【神山(松阪)】

24元旦　小屋良胤　【洞津】
24早春寄湖東旭溪上人　釋響十　【羽津(四日市)】
24送人之仙臺　　釋響十　【羽津(四日市)】

24春日登垂阪山　僧大宣　【北勢】
24歳晩草堂集　僧黙道　號大華道人　【越阪】

勢陽風雅 初編 下

河陽　東丘 釋泰運 慈忍　校
洞都　謙庵 筒誼清 元慎　校

01元日　度會末雅　字子章　號篁園　【山田(伊勢)】
01歳暮述懐全」　度會末雅　字子章　號篁園　【山田(伊勢)】

01元日　度會末顯　字世叔　號錦川　【山田(伊勢)】
01歳晩　度會末顯　字世叔　號錦川　【山田(伊勢)】

02元旦　幸田光隆　字子棟　號西河　【山田(伊勢)】
02歳晩　幸田光隆　字子棟　號西河　【山田(伊勢)】

02春雨　谷公龍　　【高田山(津)】
02春閏怨　僧佛幻　字教娯　【明星(多気郡)】
02春日偶興　僧佛幻　字教娯　【明星(多気郡)】
02送人之仙臺　僧了道　字則中　號經岳　【南神戸(鈴鹿)】

03新年之作　徳真道人　【四日市】
03除夜　徳真道人　【四日市】
03除夜　森本向若　【四日市】

03元旦　森本向若　【四日市】
03元旦　早川允副　【四日市】

04元旦　黒川龍　字子潜　號延津　【四日市】
04除夕　黒川龍　字子潜　號延津　【四日市】
04歳晩書懐　井嶋茂喜　字東卿　【四日市】

04元旦　井嶋茂喜　字東卿　【四日市】
04歳晩偶作　太田吉昌　字君明　號李仲　【四日市】
04臘中立春　太田吉昌　字君明　號李仲　【四日市】
04元旦　太田吉昌　字君明　號李仲　【四日市】

05除夜感懐　西村茂敬　字盛明　【四日市】
05元旦　西村茂敬　字盛明　【四日市】
05元旦　釋忍戒　字一黙　號如雷　【四日市】

05除タ　釋忍戒　字一黙　號如雷　【四日市】
05元旦　西村茂雉　11歳　【四日市】
　山河千里忽ちに新陽。日煖かに、風微かにして梅復た香る。童子、予の如く筆を試みるを羞づ。親に侍して壽(寿言)を獻じ茅堂に坐す。

06除夜　瀬木榮充　字守約　【四日市】
06元旦　瀬木榮充　字守約　【四日市】
06東都除夕　花澤　字玄提　【四日市】

06早春寄同社諸君　花澤　字玄提　【四日市】
06元旦　僧性戒　號歸撲　【四日市】
06除夜　僧性戒　號歸撲　【四日市】

07除夜　太田吉章　字子黄　【四日市】
07元旦　太田吉章　字子黄　【四日市】
07歳晩得玩世三蔵書部卻寄　僧良苗　字種山　號如水　【四 日市】

07元旦　僧良苗　字種山　號如水　【四日市】
07除夕有感　僧良雄　字大巓　【四日市】
07元旦　僧良雄　字大巓　【四日市】

08元旦　僧戒珠　號鶴山　【四日市】
08元旦　行方條好　字察夫　【四日市】
08早春埀阪山眺望　行方條好　字察夫　【四日市】

08除夜　坂倉周純　字齊卿　【四日市】
08元旦　坂倉周純　字齊卿　【四日市】
08早春埀阪山眺望　坂倉周純　字齊卿　【四日市】

09元旦　僧魯童　【四日市】
09元旦　僧指天　字周行　【四日市】
09元旦　篠原尹脩　字子進　【四日市】

09除夜感懐　篠原尹脩　字子進　【四日市】
09擬春日早朝之作　森向若　【四日市】

10歳首應雪巖師需賦　羽寧　【松坂】
10和羽南澗元日作　井環　【松坂】
10歳晩　田喬之　【松坂】

10元旦作　竺慧浄　【松坂】
10歳暮述懐　竺慧浄　【松坂】

11元日　中里榮宣　【松坂】
11歳晩　中里榮宣　【松坂】

11冬日逢友　僧無邉　【松坂】
11歳晩遊松浦　岡繁久　【松坂】
11歳暮吉祥閣集　北子環　【松坂】

12歳晩對雪　津子昌　【松坂】
12歳晩　中里常苗　【松坂】
12元旦　中里常苗　【松坂】

12歳晩　小泉龍　【松坂】
12除夜書懐　江之俊　【松坂】
12除日　竹命昭　【松坂】

13除日三渡之作　橋定頼　【松坂】
13歳晩偶泳　中光多　【松坂】

13歳晩吉祥閣集　木長榮　【松坂】
13除夕有懐　西英久　【松坂】
13除夕　辻貞陳　【松坂】

14除夕　原義路　【松坂】
14歳暮書懐應雪巖師之需　赤須眞人　【松坂】

勢陽風雅 初編 附録

河陽　東丘 釋泰運 慈忍　校

01歳暮感懐　椙立矗　字�ｺ順　號呉川　【伊州】
01元旦　椙立矗　字�ｺ順　號呉川　【伊州】
01除夜　僧實浄　字光存　號南昌　【予州】

01戊寅元旦洞津客中作　僧實浄　字光存　號南昌　【予州】
01長安春望　南文明　字子欽　【城州八幡】
01長安春望　秦子臭　字蘭夫　15歳　【平安】

02岩田橋春望(洞津客中作)　僧諦信　字順教　【摂州】
02洞津客中元旦　寺井定久　字子輔　【城州佐山】
02元旦　僧雪濤　【東毛】

02四條橋春望　伊嶽道人　【東都】
02丁丑除夜　僧一源　字大濤　號雷山　【長崎】

03戊寅元旦　僧一源　字大濤　號雷山　【長崎】
03春日病中感懐　鷲氏女　14歳　【河州】
　病に臥して春、将に盡きんとす。春光、望裏に分かる。蕭條として感慨多し。黄鳥、聞くに堪へず。

03送河陽玉壺多田君之平安　森梁　字文鱗　號本庵　【南都】

03春日遊四天王寺　水野金緌　字左平　號江潭　【浪華】
03歳初謁平安祖堂作　釋泰運　字慈忍　號東丘　【河陽】　下巻・附録校正者
03少年行　釋泰運　字慈忍　號東丘　【河陽】

04従軍行　椎本政名　字矩州　【浪華】
04長信怨　森直政　字文臧　號北山　【浪華】
04少年行　川中孝範　字文平　【河州】

04楚宮怨　佐々傳胥　字子惠　【江州】
04擬春日早朝之作　釋正順　字鉤玄　【浪華】
04少年行　僧順性　字暁觀　【長崎】

05元日偶作　僧嶺雲　字海月　【河州】
05遊園城寺　僧北一　【平安】
05浪華高津春望　僧惠通　字洞觀　【藝州】

05少年行　佐々貞亮　字元瑞　【摂州冨田】
05公子行　中嘉壽　【河州】
05擬春日早朝之作　僧元昂　【浪華北野】

06湖亭暁望　僧慈門　【江州高宮】
06従軍行　川中常眞　字良平　【河州】
06又　川中常眞　字良平　【河州】

06呉宮懐古　松光　【浪華】
06宮怨　僧覺道　字圓成　【藝州】
06春日山春望　廣瀬則正　【和州】

07歳首即事　僧慧順　11歳　【浪華】
　荒陵山上、新年に値(あ)ひ、紺殿(佛寺)の春風、管絃に入る。是れ威霊、日に増々盛んなるに因って、連山、戸に當って五雲懸る。

07和參議滕公新歳早朝之作　多田義敏　字好古　號玉壺　 【河陽】　上巻校正者

07華頂山雨中春望　多田義敏　字好古　號玉壺　【河陽】
07登比叡山最高頂望琵琶湖　僧覺胤　【上野】
07春日訪隠者　僧了慶　字宏潤　【浪華】

08送人之信中(平安客中作)　僧慶海　【駿州】
08春日過伊駒山寺　森梁　【未記載】
08送衍真上人還郷　秋丸當義　字文驥　號瓊江　【長崎】

08春日登樓　芥清　字子泉　15歳　【平安】　序文の書写者
　中原、目を縦(ほしいまま)にするは韶光来る。 淑氣、偏へに浮く、読書の臺。陌柳、憐むに堪ふ、雨を含んで緑なることを。苑梅、笑ふに似たり、霞に映じて開く。
　千重の群嶺、天を凌ぎて聳ゆ。一帶の清流郭を抱いて回る。眺めに臨みて吾れ思ふ、春懐を述べんことを。揮毫、徒(いたづら)に愧づ。鄴中の才に。※魏の鄴中の七子に擬す

08應　大聖法公主教擬雪後早朝(分韵似字)　菅清璣　字子山　號亀橋　【平安】
08讀采蓮編寄雪巖道人　關茂韶　【東毛】

09讀弦歌餘韻寄贈玩世道人　金子龍　【東武】
09其二　金子龍　【東武】
09送履道上人還西肥(河陽客中作)　釋理寛　字泰州　【肥前】

09寄贈河陽東丘上人　森直政　字文臧　號北山　【浪華】
09春日登伊駒山　僧即音　字文成　【筑後】
09春日登大洞山　僧慈舟　【江州高宮】

10春日遊嵐山　源頼寛　【平安】
10古意　稲其昌　字子世　【平安】

10登天台作二首　猪國香　字蘭夫　號九畹　【平安】

11送某上人歸比叡山　僧義等　字普潤　【長州】
11和東丘上人春初謁祖廟之作　川中孝範　字文平　【河州】
11登鞍馬山　秋丸當義　字文驥　號瓊江　【長崎】

11春日遊園城寺　僧節巖　【河州】
11擬春夜寓直　生谷昌　號藂桂　【泉州堺】
11元旦　御厨華　字了英　號西岳　【平安】

12春日訪東丘上人　中嘉壽　【河州】
12春日遊園城寺　河窪周辰　【江州】

12遊魚山　武保周　字孟郁　【備前岡山】
12宿愛宕山寺　釋僧敬　字大梁　【鎌倉】

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雪巖道人刻風雅集。問説于予曰、不知。
又問曰、古人有言魚在水中而不知水波翔。
亦曰、要知廬山面却下廬山看。
吁、師也、東西南北之人。
挂錫本藩三年、于茲可謂入廬山稍深、
奚恐不復辨廬山面目也。
蓋廻鉢西京得識者、一語以為標幟。
雪巖子曰諾哉。因曰、
吾子之言、雖出于戯謔其旨実徴矣。請為我筆諸。
固辞而不得遂書以贈。
時戊寅人日也。

　洞津　勝子樸　[高文之印] [■]

(跋文)

雪巖道人、風雅集を刻す。予に問はるらくに「知らず」と曰ふ。
又た問ふに曰く、「古人に言有り、魚は水中に在りて水波の翔るを知らず」と。
亦た曰く「廬山の面を知るには廬山を却(しりぞ)き下って看るを要す。」と。
吁(ああ)師や、東西南北に之(ゆ)ける人、
本藩に錫を挂けて茲に三年、廬山に稍や深く入れると謂ふべし。
奚(なん)ぞ、廬山の面目を復たび辨ぜざるを恐るるや。(※近くの傑作を誉めないのか)
蓋し西京に鉢を廻らして識り得たる者は、一語以て標幟と為さん」と。
雪巖子「諾哉」と曰ひ、因って曰く、
「吾子の言、戯謔より出ると雖も、其の旨は実(まこと)の徴(しるし)かな。請ふ、我が為に諸(これ)を筆せよ」と。
固辞するも、而して得ず、遂に書して以て贈る。
時に戊寅(宝歴8年1758)人日(1月7日)也。

　洞津　勝子樸(藤堂東山1720*-1784津藩士)　[高文之印] [■]