Back (2005.10.22up / 2014.01.09update)
佐藤一齋(1772 安永元年 〜 1859 安政6年)
佐藤一齋 掛軸 (2004年7月購入)
淑谿秋竹雨霏々
風戞煙揩翠欲飛
応是瀟湘江上路
[僊]妃一去幾時帰
煙雨萬竿圖 一齋坦書
淑谿(清く深い谷)の秋竹、雨、霏々たり
風たたき、煙うち、みどり飛ばんと欲す
まさに是れ瀟湘江上の路なるべし
[僊]妃、一たび去って幾時か帰らん
(コメント※ 2008.02.08)
何もわからない頃にお店を信用して購入した物ですが、近年刊行の印譜集を参照しましたらあきらかに違ふものでした。
(コメント※ 2010.09.03)
篆刻の専門家の方より「照合した印譜の方が真を失しているのではないかと思」はれるとの御指摘を、解読の誤りと共に御教示賜りました。(照合に使った落款事典が最新刊のものであったこと、そして一緒に買った太乙の軸は明らかな写しだったので、疑心暗鬼で掛ってゐたかもしれません。)
さう云はれてみますと、一齋を贋作するならもう少し、しかつめらしい詩であってもよささうな気も致します。何だか希望が湧いてきました。なほ保留して追跡したいと存じます。
御教示により意味もすっきり通るやうになりました。ここにても厚く御礼を申し上げます。ありがたうございました。
(コメント※ 2011.02.15)
このたび『佐藤一齋先生印譜』を考証する論文中に、原本が復刻公開されてゐることを、ネット上にて発見、
そのうち(92p)にわが掛軸に捺された二顆と同じかもしれないものをみつけ、再び意を強くしました。茲に併載して、御教示に対する感謝再拝を申し上げますとともに、
購入店に対する不満表明を削除、最新事典の「印譜の方が真を失している」場合もありうることを付記します。
(【参考】『日本書画落款大事典』平成十九年、遊子館刊に掲載 / 『佐藤一齋先生印譜』大正十四年、溝上与三郎刊に掲載
上:「佐藤坦/私印記」 下:「鉈尾城/主八世孫」 鉈尾城は美濃市鉈尾山(藤城山)にあった祖先の居城
佐藤一齋 掛軸 (2014年1月購入)
『論語』陽貨第十七より
子張問仁於孔子、孔子曰、能行五者於天下爲仁矣、請問之、曰、恭寛信敏惠、恭則不侮、寛則得衆、信則人任焉、敏則有功、惠則足以使人。
子張、仁を孔子に問ふ。孔子曰く、能く五つの者を天下に行なふを仁と為す。これを請ひ問ふ。曰く、恭寛信敏惠。恭なれば則ち侮られず、
寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち人任じ、敏なれば則ち功あり、恵なれば則ち以て人を使ふに足る。
【参考】『日本書画落款大事典』平成十九年、遊子館刊に掲載 / 『佐藤一齋先生印譜』大正十四年、溝上与三郎刊に掲載