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大沼沈山(1818文化15年 〜 1891明治24年)
『枕山詩鈔』
(ちんざん ししょう)
大沼枕山 著
熈々堂 私家版 ,嘉永二年(1849)刊 32丁 ; 26.2×18.2cm
後年刊本との異同のある初版を掲げます。PDF
9mb 外
部サイト
大沼沈山 掛軸 その一
歸雲獨鳥両悠々
栗里風烟勝石頭
不比宋家皇祚短
東籬老菊自千秋
淵明像 枕山厚
帰雲、独鳥、ふたつながら悠々
栗里の風烟、石頭に勝る
比せず、宋家の皇祚の短きに、
東籬の老菊、自ずから千秋
栗里:陶淵明の故郷
宋家:淵明が忠節を誓った晋王朝
帰雲、倦鳥、東籬の菊:淵明の詩をふまへる。
大沼沈山 掛軸 そのニ
一竿紅日映簷高
朝酔題詩意氣豪
幾滴井華涵硯紫
羊年恰好誠羊毫
癸未元旦 沈山叟
一竿の紅日、簷に映じて高し。
朝酔ひて詩を題す、意氣は豪なり。
幾ばくか井華を滴らし、硯紫に涵すは
ひつじの年、恰かも好し、誠の羊毫なり。
癸未元旦 沈山の叟(おきな)
一竿風月(塵外に遊ぶ謂)
井華(朝一番に汲んだ井戸水)
羊毫(羊毛の筆)
癸未(みずのとひつじ=明治16年)
大沼沈山 掛軸 その三
君不見南極老人持大寶 君見ずや、南極老人大宝を持するを
表福禄寿示衆人 福禄寿表(あらは)れ、衆人に示せば
衆人欲得馳仍走 衆人得んと欲して馳せ、しきりに走る
誰知至寶存其身
誰れか知らん、至宝はその身に存するを
福禄寿即儉勤靜 福禄寿は即ち「倹・勤・静」
只此三字天休臻
只だ此の三字、天休(天からの恩給)に臻(いた)り
從心能致大饒富
従心(七十歳)にして能く大饒富(ゆたかなとみ)を致す
如意之珠放光新 如意の珠、光を放ちて新たならん
大寶珠歌 枕山僊史
『枕山詩鈔三編』巻之上 (己未 安政四年)一丁に所載。