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赤田臥牛(あかだ がぎゅう)(1747 廷享4年 〜 1822 文政5年)


p1

【資料】

 悼 梅林師
寂寞雙林下悼君捨色身五蘊寧
固有四大本非眞上人夙悟道出世得
勝因順彼佛願故專稱仰能仁果哉
无爲樂一朝脫迷津掛壁塵猶在
道論誰復伸蓮社非當日方外失所
親哀々哀古堤上花落水空春
       元義

戊寅六月[偈]墨事
冩書以贈之

  臥牛山人元義拝稿

寂寞たり、雙林(沙羅双樹)の下
悼む、君が色身(=現身)を捨てるを
五蘊(色・受・想・行・識)、寧(なん)ぞ固有ならんや
四大(地・水・火・風)も、本と眞に非ず
上人、夙に悟道し
世を出でて勝因(すぐれた因縁)を得
彼の佛願に順ふが故に
專稱(念仏)して、能く仁を仰げり

p2

果せる哉、无爲(無為)の樂
一朝、迷津を脱す
(遺物を)壁に掛け、塵は猶ほ在るも
道論、誰か復た伸ばさん
蓮社(念仏結社)は、當日に非ず
方外に、親しむ所を失ふ
哀々たり古堤の上
花落ち水空しき春
         元義

戊寅(文政元年)六月、偈墨事
冩し書して以て之を贈る

  臥牛山人元義、拝稿す

p3



【資料】


秋日遊滑川氏別業

墻東避世似巌阿
寂々閑庭長薜蘿
落日[常]山堪自注
清秋載酒診誰過
詩来題升P風動
客到撫松蒼翠多
依𦾔招題門外地
頓消塵慮事吟哦

笑正  赤田義



秋日、滑川氏の別業に遊ぶ

墻東(隠居地)世を避く、巌に似る阿
寂々たる閑庭、長き薜蘿
常山に落日す、自ら注ぐに堪へたり
清秋、酒を載せて、誰か過るを診ん
詩来り、題升れば、P風動く
客到り、松撫して、蒼翠多し
旧に依りて題を招く、門外の地
頓に消ゆる塵慮、吟哦を事とせん

笑正  赤田義





赤田章齋(あかだ しょうさい)([1783天明4年]〜1845弘化二年


【資料】

阪田氏別業賞月

三逕秋清對数峯
月来良夜此相逢
風香忽覚桂花發
坐静偏甘茶味濃
簷隙斜通隣寺樹
草間暗咽後庭蛩
今宵不待孤輪満
預卜同遊到暁鐘

同前和主人韻

永夜詩来何所思
沈吟不覚漏聲移
無端起望雲

是清光欲満時

笑正  筠洞暢 拝草



阪田氏別業にて月を賞づ

三逕の秋清、数峯に對す

月来りて良夜、此に相ひ逢ふ
風香忽ち覚ゆ、桂花の發するを
静かに坐せば、偏へに甘く茶味は濃し

 簷隙は斜に通づ、隣寺の樹
草間に暗咽す、後庭の蛩
今宵は待たず、孤輪の満つるを
預め同遊を卜して暁鐘に到る

同前、主人韻に和す

永き夜、詩来りて何の思ふ所ぞ

 沈吟、覚ず、漏聲の移るを
端なくも起きて望めば雲間の面
好し是れ清光、時は満ちんと欲す

笑正  筠洞暢 拝草




【資料】

幽館芳春
花発鶯啼
侑酒吟窓
遅日墨濃
筆良題詩

章齋



幽館芳春
花は発き、鶯は啼き
吟窓、侑(すす)む
遅日、墨は濃く
筆も良く詩を
題す
 
章齋




紙片

【資料】

杉岡暾桑『蘘荷溪詩集』の古書中に挟んであった紙片であるが、静修館二代目の赤田章斎13回忌法要についての打合せの簡牘らしい。とすれば 安政5年のものか。

当月廿九日章齋先生十三年之祭祀
執行ニ相成候ニ付御相談申度義有之候間 乍
御苦労午之上刻御出席可被下候 以上

八月廿六日

          静修館 執事
上田東造様


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