2007.07.02up / 2007.07.09update
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すみれかわ せんどう【菫川千童】詩集『譚』1939


譚

詩集 『譚』

菫川千童 第一詩集

昭和14年11月5日 滿州文學同人(新京)刊行

[16p]  25×18cmcm 上製 ¥1.00

100部限定


覚書

童話

黄昏

奥付


【付記】
すみれかわ せんどう【菫川千童(本名:遠藤美津男 大正9年1月17日〜昭和16年7月22日)】

 満州の刊行物は戦後引き上げ時に携帯を許されず、国内に現存する本は寄贈もしくは敗戦以前に持ち帰られたものに限られてゐます。 況や昭和十六年わずか二十一才で仆れ、刊行された部数もたった100冊とあっては、後世ほとんど知られることなく、 長らく古書店の間で語り草として伝承される「幻の詩集」に祀り上げられてゐたのも仕方なかったかもしれません。余白を活かした詩集の意匠は、昭和初年の椎の木社の詩集を髣髴させ、 詩篇に横溢するイメージと語彙は、大陸の先輩詩人である安西冬衛や瀧口武士が興したモダニズムにつらなり、同時に大陸独自の抒情も融合して表れてゐるやうで、 十代の少年が書いた詩集と聞いては天分を感じざるを得ません。結核による夭折※がおしまれるところですが、余命を思ふと覚書の言葉が胸に迫ります。

詩人の御遺族である博之様(弟君)より貴重な詩集のコピーをお送り頂きました。茲に厚くお礼を申し上げます。2007.07.03

※長男の詩人をはじめとして弟妹7人中4人が結核により16〜21才の若さで亡くなられた由、当時の満州は結核が多かったと云ひます。御冥福をお祈りします。2007.07.09


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