(2017/3/11 update) Back
おかざき たろう【岡崎太郎】『詩集雨蛙』(抄)1933【国会図書館未所蔵】
【一言コメント】
永年詩集を集めてゐますが、かくまで序文・跋文の両方から、やんわり・ばっさりと作品自体が斬られてゐる詩集も珍しい。
それをそのまま律義に印刷する詩人もどうかしてますが、敢へて刊行を急いだ理由である、病床にあるらしき老父君が、この一冊を手にとり、序跋を読み、そして息子らの諍ひをそのまま写した詩篇を御覧になって、いったい如何思召されたことだらう。
その素直すぎる性格によって書かれた詩は、当然素直すぎ、頬笑ましいのですが、調べてみるとこのひと、古館鼠之助といふペンネームですでに『蝦夷趣味 江差追分漫画集』といふ本を昭和2年に出してをり、新人でもないらしい。
道理で昭和8年の時点で、この、ポエジーの洗練とは縁の薄い感じは、昭和初年の岐阜市でも大いに流行った“新作民謡”ジャンル出身であるかららしいことがわかったのでした。