(2003.10.31up / 2015.6.9update)
中島榮次郎の葉書
【東成 昭和16年8月12日消印】
京都府久世郡宇治町玲音荘 小高根二郎様
大阪東成区南生野町 一-六八 中島榮次郎
拝啓 随分御無沙汰してゐます。
お元気ですか。本日詩集「はぐれたる春の日の歌」御恵送くださり確かに拝受致しました。早速拝見してゐます。
先日肥下君要事で帰阪しましたが、忙しくて皆に会へなかったといってゐました。よろしくとのことです。
先は右とりあへずお礼まで。艸々
中島榮次郎への葉書
【荻窪 昭和13年2月13日消印】
大阪東成区南生野町 一-六八 中島榮次郎様
東京都杉並区天沼 田中克己
拝復 僕のたのみをみな聞いて下さつた由、感謝します。
今速達を受取る。御養生を祈る。
保田(與重郎)の本※は透谷賞をもらひましたが評論家で虚心坦懐にほめる奴がゐないので憤慨する。頴原(退蔵)さんが書いてくれたので大分形がつきました。
亀井(勝一郎)に先達て会つたら君に会ひたいやうな話だつた。芳賀(檀)もその中、京都に引上げるらしく序でがあれば御会ひになつてもよからうと存じます。
※『戴冠詩人の御一人者』