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むらた はるみ【村田春海】『村田春海詩集』1937


函


(画像提供「稀覯本の世界」HP)

村田春海詩集

『村田春海詩集』

村田春海遺稿詩集

昭和12年5月5日 叢文閣発行

上製 函 21.6×19.5cm 8p,328p  \5.00

限定150部


国会図書館所蔵


扉

著者小影


序言 萩原朔太郎

目次 1 2 3 4  5

感傷的抒情詩篇 1920-1923

白茶けた屋根と光
夜の祷り
小さい兄弟
無題(よりによつて買つてきた品に)  2
じとじとと雨のふる夕である
静かな一日
ある夜と林檎
雪の降る夜に
ゆふべ
私はいつも海岸を歩む
なぎ
春のおとづれ

感情
霜の朝に
秋の日をあびて
十二月のおとづれ
冬をむかふ  2
春が立つ  2
白い花
追跡
*(神さま!)
丘の上にて
ある朝に
祝福された情慾

庚に
SONNET 1921-1923  2  3  4  5  6

生活への序曲 1924

廣場  2
叫び
顫動
雪が降る
春の歌
月光を主題とせる哀傷曲  2
生活への序曲  2  3  4  5  6
轉調
日本に
K師に贈る
山の歌  2
山上の夜  2
夏を迎ふ  2
戦への誘ひ
あらしの序樂  2  3
生清感情の歌
あらしの後
無題(積みあげ、積み上げた範疇の記念柱に)
月と雲
未完成な作品の序詩  2
秋の歌
無題(ちよんぼりと黒ずんでゐる森)
*(まだ充分に癒え切らなかつた友と二人)
颶風は死んだ
おお、輝け、第二十一年の秋の太陽
田園風景  2
遮断機
冬景
侏儒
あらしの夜に
彼と共同腰掛
三太郎の歌
歳暮の歌  2
断章(五十二編)  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13

鐘の歌 1925

一九二五年一月一日に  2
バラックの亜鉛屋根をこえ
街角で
寂しい街々の装ひであつた
風の歌  2

私の歌
春の印象
祖父の死
*(窓をもるあかりのなつかしい頃がきた)
落日
詩人と革命家
春と椿  2
落日の歌
水の子供  2
鐘の歌  2  3  4  5
赤いつつじ  2
ある瞬間  2
或るひとりの友だちに  2
向日葵
朝顔
夜店商人の言葉

夕凪
王城の夜は暗かつた  2
晴れた日に
*(今朝私は)
無題(私は旅人)
漂白者の歌  2
火事  2
傳統に  2
詩人たちに  2
寒さ
断章(二十編)  2  3  4  5

光の歌 1926

一九二六年一月一日に  2
夜半
ある朝
光の歌  2
揺籃の歌  2
雪の歌

樂園境  2
稲妻  2
帆走の歌  2
門出の歌
軍旗  2
落日
電柱
断章(二十編)  2  3  4  5

夜の歌 1927-1937

夜の歌  2
魂は泣き叫ぶ  2
急行列車  2
夜曲  2
新緑
放たれる日
*(どし、どたり、どたり)  2
*(断崖の瑞に)
灰色の眼のない魂
夜の哀歌
*(私は自ら剣をぬいて群集の前に立つた)
ある朝に  2
碧緑の五月祭  2
断章(五編)  2
*(鳴り響く工場の塀をとりまいて)  2
古井戸  2
短歌近詠(三十六首)  2  3  4  5

散文詩 1923-1930

月の出産
五月の空
雲  2
貧しい支部人の陶器なほしに 2
雪ばれのあさの幻想  2
蘆と蛇  2
私は空腹にしみとほる秋の日をあびながら
情熱の錨
林は鳴る
陰影の世界
麥は生ひ茂る
難波船
海のファンタージヤ
海港
荒野の街道に立ちて
世紀の丘  2

村田春海年譜  2

村田春海主要著訳目録  2

編纂のあとに 黒田辰男  2

奥付

奥付


 尾崎一雄・小宮山明敏・山崎剛平らの同人雑誌「主潮」によった早稲田露文の早熟詩人の遺稿集。
刊行は昭和12年であるが、活躍期の大正末〜昭和初期の作品が、編年体で収められてゐる。
萩原朔太郎ら口語詩黎明期の詩人たちを愛読した詩人は、黒田辰男、河盛好蔵らと堺での同人誌活動を経て、上京ののちロシア文学に傾倒、一過的 だがプロレタリア詩にも手を染めてゐる。 そして卒業後、翻訳・小説へと文学者として生活の資を得る方途を模索するも失敗。焦燥と鬱屈を生来の蒲柳の質は支へきれなかったと見える。 愛妻が病み始めてからは何かなしくづしの挫折と不幸が年譜には窺はれ、哀れでならない。
装釘は露文の盟友黒田辰男。まるで『転身の頌』のサイズを『黒衣聖母』の布地で作ってしまったやうな豪華版詩集は、遺稿集としても破格であ る。 けだし転身を図るも詩壇評価の確定なく終った数々の詩編は、この立派な容器に編まれた後も、300ページにわたる分量と、150部の限定部数 ゆゑに、 その後今日に至るまで「封印」同様の状況にあったといっていい。謹んで詩人の冥福を祈るとともに茲に稀覯詩集の全貌を公開します。


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