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いちのせ みのる【一瀬 稔】(1909 〜 2004.8.2)


故園小景詩鈔

故園小景詩鈔

一瀬稔 自選詩集

平成8年1月20日 甲陽書房発行

19.5cm×13.0cm上製函入 本文178ページ 定価3000円


自選詩集


目次

故園小景

1.林
2.林
3.麦秋
4.麦の秋
5.春昼
6.晩春
7.晩夏
8.庵主不在
9.狸囃子
10.白い月
11.あの花の匂うころ
12.晩夏
13.侘び寺
14.寒梅
15.暮秋

山鶏抄

16.雲
17.雲
19.空林独坐
20.昼の月
21.昼の月
22.昼の月
23.山の空
24.展墓
25.山道
26.村の空
27.寒林
28.春日
29.山の小駅
30.村
31.秋夜
32.村の手帖
33.菜園の頌
 頌
 金時豆
 蕃茄子(トマト)
 南瓜
 唐の芋
34.故園の卓
35.陽だまり
36.風鈴
37.旅

草の晒抄

38.子ども
39.紅緒の塗下駄
40.簷うつ雨
41.春の月
42.葉桜の頃
43.寝顔
44.草の栖
45.五月
46.秋一日
 留守居
 訪問
47.板庇
48.秋深む
49.鄙ぐらし
50.火桶のうた
51.蔬園
52.蝶
53.野道
54.短章
 朝餉
 藁家の庭
 鰯雲
 草の上
 冬至前
 うらら日
55.昆虫図絵抄
 蟋蟀
 すいっちょ
 鉦叩き
 蜘蛛
 胡蝶
 蜂

三冬盡抄

56.春の昼
57.昼
58.昼
59.寒晴れ
60.春畑
61.旅も終りの
62.冬山
63.皐月
64.菊日和
65.菊日和
66.明日の糧
67.洋燈の歌

杳い風景

68.夕雲
69.路地異聞
70.羽咋の浜辺
71.水煙の見える道
72.晩春遠景
73.小さな海辺の町で
74.杳い風景

あとがき

題字 榊莫山
版画 志村量美


 13.寂び寺

くづれかけた石段をのぼり
古びた扁額をかかげた紅殻塗りの門をくぐった
藁葺きの庇のふかい庫裡の前
媼(おうな)がひとり呉座の上の豆がらを叩いていた
美しいみほとけのすがた像が秘められてあるという
歳ふ古りたこの寂び寺の堂宇は
ひっそり障子が閉まり
そのお堂の傍
丈ののびた唐黍が素枯れていた
方丈の裏手のあたりで鶏が啼き
境内につづいたうしろの雑木山の嶺近く
昼の月がかたむいていた


著者略歴 [本名・宿沢 稔] 

明治四十二年十一月十九日、山梨県西八代郡市川大門町に生まれる。
昭和十五年、 石原文雄氏らと『中部文学』創刊、編集同人となる。
翌年、       詩集『山鶏』を中部文学社より出版(『山鶏』は中原中也賞、文芸汎論賞の有力候補詩集となる。その後『四季』に作品を寄稿)。
昭和十九年、 第二詩集『三冬盡』を中部文学社より出版。
昭和二十一年、第三詩集『明日の糧』を高須書房より出版。
昭和二十三年、同人詩誌『詩人群』を発刊、編集を担当。
昭和二十四年、第四詩集『草の栖』を甲陽書房より出版。
昭和二十八年、総合文化誌『文化人』の編集同人として参加。
昭和三十年、 同人詩誌『未踏』の編集同人となる。
昭和五十一年、『木葉童子詩経』(こっぱどうじしきょう 野澤一詩集 昭和九年初版刊)を北川太一氏と編集、文治堂書店より出版。
昭和五十三年、文化功労実官受賞。
昭和六十一年、随筆集『忘れ得ぬ人びと』を甲陽書房より出版。
現在(※平成8年現在)、同人詩誌『草炎』顧問、日本ペンクラブ会員山梨県芸術祭専門委員、財団法人山人会会員、山梨県芸術協会理事。


奥付


【後日記 2010.11.16】
詩人が平成16年に逝去されてゐたこと、山梨県立文学館より御命日御教示いただきました。詩人の御冥福をお祈り申し上げますとともに慎んで茲に記します。


【後日記 2012.02.13】
著作権に鑑み公開テキストを制限させて頂きました。amazon古書で出版元より販売中(現在の連絡先は東京住所のみ)。是非現物を手におとり下さい。
また詩集を頂いた当時の、なつかしい想ひ出の記録を御紹介します。

葉書


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