アジアの歴史について、たいへん乱暴な「創作寓話」のプロットを一席。2000/7/15 up

はじめに〜。

 みなさん、哲学や法律・科学など、形而上の理論を重ねて作り上げた理性的なものが一見社会を支配するやうに見える、実は資本主義の欲情を蔵した西洋国家を「男性」に見たて、反対に時の皇帝の気まぐれで政治が動き、民族・地勢単位で閉じた国家のなか、血腥い勢力内紛を繰り返してゐた東洋の王朝国家を「女性」に見たててみてください。

 むかしむかし、アジアの東のはづれに「清子、朝子、和子」ってな名前の「三姉妹」がをりまして(いや、またすごい名前つけたね)

 えー、つまり中国、朝鮮、日本といふことで、当時の列強諸国はといふと、これが好色な不良青年にほかならない訳でございますな。彼奴等はジワジワと手に触る女達を片っ端から手篭め(植民地)にしてゆきます。魔の手は長女一家にも伸びてきて、覚醒剤を打ってレイプしようと迫ってくるんですが抵抗したって暴力でかなふ相手ぢゃあありません(アヘン戦争)

 さて、そのころぼんやり育った末娘の和子は世間知らずのまだ子供でございました。しかし姉さん達が次々に乱暴な男どもに襲はれ、ついには箱入りだった自分の家の門口が叩かれる(黒船)に至って少女の心は目を覚まします。思春期に至った彼女は驚きのあまり男ぎらひの反応をしめし、しかしそれをあからさまにすることがどんな結果をもたらすかを聡明な判断をもって彼女は考へたんです。さうしてひそかに憎悪を宿したまま、彼らに対してはなるべく刺激を避けるやうに振舞ふことを覚えていった。そしてそんな処女の彼女には「姉さん達」は、女の性(さが)に負けた、男の言ひなりになる意気地のない恥ずかしい身内と映ったんですな。和子は、まだレイプの危機といふ自覚のない二女の朝子をひっぱたいて自分の云ふことを聞くように命じます。長女はへたばってはをりますがまがりなりにも姉さんです。二女は取敢へず自分の配下のつもりでゐましたから、小生意気な和子と喧嘩するんですが、如何せん、既に男たちに目茶目茶にされゐるので腕を振り上げる力も無く、なんと妹の方が姉さんを張り倒してしまひます(日清戦争)。勝った三女はもういい気分で,姉さん達なんぞはもう己の敵ではなく、朝子を自分の子分になるよう一方的に命令(日韓併合)すると、長女一家をも自分が面倒を見なくてはならんと見下げ始め、驕りはいつしか彼女をして全世界の男どもを膝まづかせる「女王様」を夢見る(八紘一宇)様に変はっていったのです(なんか屈折しててSMチックだな、この表現)

 男どもも最初こそ、この雀斑だらけの小汚い小娘をただのおてんば位に思ってゐたのですが、アル中のロートル爺と掴み合ひの喧嘩(日露戦争)の末に金的を蹴り潰したのを見て、流石に吃驚こきます。××××を蹴り潰された爺(ロシア)は当然オカマになっちゃいました。はてさて当初は援助者のやうに甘い言葉で囁いて籠絡しようと考へてゐたジェントルマン(英国)も、彼女が男同士の大喧嘩(第一次大戦)の際にしゃしゃり出てきて袋叩きに一緒に參加してくるやうな、男勝りの振る舞ひには次第に「このアマ!」といった気持を起こしてきます。「君は女の子なんだからもっとおしとやかに!」(軍縮)などと難癖を付けてみるものの、尤もらしい顔した男どもに対して、彼女は「ふん、てめえら人のことなんか言へた義理か」とお構ひなしに、今度は長女一家のなかでいぢめられてゐた一人をとうとう自分の子分にすることに成功します(満州国設立)。正直なところ長女一家をこれから「回して」(やな表現だな、これも。)存分に楽しむつもりだった西洋列強のスケベ野郎達も、流石に憤慨して、またちょっぴり反省心も起こして、この風変はりな女が自分達に対して「一物」あることを悟るようになりました。一方彼女の行動は止まりません。 前回の喧嘩で袋叩きにされた小男達が、再び勝組に対する復讐を誓って立ちあがらうとするのを見るや、彼等と組んで、善人ぶった男達の世界に絶縁状を叩きつけます。そして中でも一番強いムキムキのマッチョ野郎の米吉に向かって、とうとう彼女は先制パンチを食らはしたんです!

 これには今まで男共にいい様に嬲られてきた「奴隷園」の多くの女達も一瞬目を瞠ったんですねぇ。 「よくぞやってくれた」と。でも和子が自分達を助けてくれる姐御肌なんぞの持ち合はせもなく、ただ狭量な了見でもって自分達を再び言ひなりにしようとするヒステリックで小便臭い生娘であるに過ぎないことが判ったとき、彼女達はもう、和子にも男たちにも頼らない真の自立にやうやく目覚めることになったってぇ訳です。さて和子のジャンヌダルク張りの快進撃も、所詮は虚を突いた一時だけのもの。所詮体力に差のある女性なんです。ヒステリックに歯向かったところでボコボコにされ、最後には手も足も出なくなった女性に対して二度もの鉄拳制裁(原爆)が振り下ろされて……降参(敗戦)

 ま、男達も車座になってそん時にはいろいろ相談したわな。長女は結局ロシア同様、男ぎらひのオナベになって共子と改名。朝子一家は和子の横暴からは解放されたけれど、長女と米吉との双方の間で両手を引っ張られて家族分断。 それぢゃ、和子はどうなった? したたか張り倒されてのそれからは?どうなったも何も見ての通り、かういふこましゃくれた女ほどね、一発食らはすと案外純情なんですねぇ。上目遣ひでものを見る、何でも男の言ひなりになる可愛い女になっちまふもんで。おまけに家計のやりくりは天才的!

 でもね。かういふしほらしい「正妻面」する女に限ってね、そのうち夫にも手の負へん、どこでも平気でゴミを捨てたりする公共心ゼロの迷惑しらずのオバハンになるんですよ。ホント。どうなるんかしらん、これからの国際社会の中で。 このオバハンは。

(やっぱ無茶無茶な話。おしまひ。)

ホームページへ戻る Top