「志功装画本」の全容解明を目指し、自宅の納屋を書庫として改築もされたといふ「山本コレクション」のあるじですが、夙に「Salon de 書癡」掲示板に集ふ我々古書コレクターの間では「世の文庫本といふ文庫本を全てコンプリートしよう」といふ、蠡を以て海を測る古本猛者「文庫中毒さん」として注目される有名人でありました。 その挙句、たうとう(やはり?)途方に暮れられたのか、飲み会にて「最近は棟方本を集め出したよ」との「方向修正」を伺っても、その動機を疑問視し、そも棟方志功の装画本だってコンプリートは不可能事ではないのか等々、口さがない古本仲間からは収集の意義さへ揶揄され、聞き流されたものでした。ですが茲に至って何ごとも申す者はありますまい。その意義が今後研究者によって詳細に語られるのを俟ってゐるかのやうな素晴らしい資料集です。